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包括医療時代の病院内検査室の運営
1 . 今後の医療を展望する
2004年から医療機関にDPC(Diagnosis Procedure Combination,一日定額払い制度)が導入され始めた.しかし現状のDPCは,各医療機関の過去の実績を踏まえ,収益が保証されるように計算されるシステムがとられている.しかしこのような,いかにも中途半端な制度が包括医療の最終目標とは到底考えられない.国はこれまでも新しい政策,特に国民に負担を強いる政策を実施する前に必ずアメをなめさせる政策を採っており,その意味からも現状のDPCはアメであり,数年後にはムチの政策〔多分,日本型DRG/PPS:Diagnosis Related Group(疾患別診断群)/Prospective Payment System(包括支払い方式)〕が導入されると考えるべきであろう.例えば,MRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染対策を全医療機関に実施させるに当たり5点のMRSA管理加算を与えたが,その後多くの医療機関で感染対策が機能し始めたとみるや管理加算を廃止し,逆に感染対策に熱心ではない施設から-5点の管理減算を取り立てる策を採ったことは記憶に新しい.
日本型DRG/PPSがどのような形となるのかわからないが,診断のための疾患分類は既にでき上がっているし,疾患別に必要な経費や入院日数もDPCの経験でおおよそ掴めたに違いない.全体の流れは確実に厳しい包括化に進んでおり,保険の国家管理を民間へ移行する準備も着々と進められている.米国型の医療体系を米国型の保険制度で賄う時代が,間近に迫っていると考えざるをえない.
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