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今回は,FAB分類(French American British classification)M3(急性前骨髄球性白血病:acute promyelocytic leukemia,APL)を取り上げた.M3には前骨髄球に特徴のあるアズール顆粒が豊富にみられるhypergranular promyelocytic leukemiaとほとんど顆粒のみられないM3 variantとがある.WHO分類ではいずれのM3もacute myeloid leukaemia with recurrent cytogenetic abnormalitiesのacute promyelocytic leukemia〔AML with t(15;17)(q22;q12),(PML/RARα)and variant〕となる.頻度は,すべてのAMLの約10~15%を占め,全M3の10~20%がM3 variantであるといわれている.
FAB分類のM3は,骨髄中の病的(白血病性)前骨髄球が30%以上を占める白血病である.病的前骨髄球は,粗大なアズール顆粒を多数持つ異常な前骨髄球で,アズール顆粒のために核と細胞質の境目が不明瞭となることも多い.核は腎臓形,亜鈴形などを示し,faggot cell〔アウエル小体(Auer body)を束状に有する細胞〕を認める.POD(peroxydase,ペルオキシダーゼ)反応もしくはSBB(Sudan black B,ズダン黒B)染色で細胞質一面に強陽性を呈することが特徴である.一方,M3 variantでは,アズール顆粒が細かいことが特徴である.光顕下ではアズール顆粒を認めないものから一部微細顆粒を認めるものが混在するが,Auer小体やfaggot cellが見られる場合がある.骨髄の普通染色では,一見すると単球系を思わせる像を呈するが,鑑別点はPOD反応がM3同様強陽性となる.細胞表面抗原検索では,いずれの場合も顆粒球特異マーカー(CD13,CD33)が陽性,HLA-DRが陰性となることが多い.染色体異常はt(15;17)(q22;q12)を認めることが多く,それに伴いPML/RARα mRNAが発現する.
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