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はじめに
情報とは,「あることがらについてのしらせ」,「判断を下したり行動を起こしたりするために必要な,種種の媒体を介しての知識」(広辞苑,第5版より)とある.ただ,この熟語として「情報機関」,「情報網」,「極秘情報」,「情報操作」,「情報処理」などをみるとなにやら秘密めいた意味合いがあり,暗号化なる言葉が出てくるともはや昔日の「スパイ合戦」を思い起こさせネガティブな感がある.しかし近年,情報科学・情報通信技術の発展により,電子化された情報を地球規模ネットワークを介して大量かつ迅速に処理することが可能となり,また,情報公開制度なるものも唱えられ情報の氾濫,過多の時代になった.このことは上述と反対方向にあり個人の情報といえども簡単に漏出する機会が生じたわけである.
このため,政府は,高度情報通信社会推進本部〔現情報通信技術(IT)戦略本部〕の下に基本方針として,電子商取引などの推進のための環境整備の一環として,個人情報の保護について,民間による自主的取り組みを促進するとともに,法律による規制も視野に入れた検討を行い(1998年11月),翌1999年にアクションプランを決定,個人情報保護検討部会を設置し中間報告を経て2000年1月に個人情報保護法制化専門委員会が開催され,「個人情報保護基本法制に関する大綱」を決定した.
その後,2004年に「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」が設置(厚生労働省)され,「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」が提出された.
社団法人日本臨床衛生検査技師会(日臨技)は,これらを踏まえ臨床検査部,臨床検査技師として,かつ医療人としての立場から「日臨技個人情報保護ガイドライン」を作成した.ここに概略を述べる.
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