トピックス
AGEsとアルツハイマー病
武田 章敬
1,2
,
祖父江 元
1
1名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学
2国立長寿医療センター
pp.81-82
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100330
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
グルコースなどの還元糖は蛋白質との非酵素的な反応により,シッフ塩基(Schiff base)となり,次にケトースの誘導体に変換〔アマドリ転位(Amadori rearrangement)〕されて,安定なアマドリ化合物となる.(日常の臨床の場で糖尿病の血糖コントロールの指標として測定されているヘモグロビンA1cはこのアマドリ化合物に相当する.)その後,一連の脱水,縮合,環状化,酸化,断片化反応を経て,最終的に茶色,蛍光,分子架橋などの特徴を有する後期反応生成物(advanced glycation end products,AGEs)が形成される.AGEsは多様な構造を有する物質の一群であり,これまでにpentosidine,pyrraline,imidazolone,carboxymethyllysine(CML),crossline,methylglyoxal-lysine dimmer(MOLD),glyoxal-lysine dimmer(GOLD)などが同定されている.
AGEsは糖尿病合併症(糖尿病網膜症,糖尿病腎症,糖尿病神経障害)との関連で研究が行われてきた.近年AGEsは糖尿病ばかりでなく動脈硬化,慢性腎不全,関節リウマチといったさまざまな病態に関与するとともに,加齢とともに皮膚や血管のコラーゲン組織,レンズ,神経細胞などに蓄積することが知られ,AGEsの蓄積の原因として高血糖のほかに酸化的ストレスの関与が重要視されるようになった.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.