コラム
高齢者感染症対策の問題点
稲松 孝思
1
1東京都老人医療センター感染症科
pp.1304
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100297
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高齢者にみられる感染症は宿主条件などにより多様な病型をとるが,臨床的に対応するうえで,発症前の患者の生活機能と,感染症がそれに与えている影響,治療後回復が期待できる生活能力などを考えるべきだと思う.生命予後に及ぼす影響を考えることも,もちろん重要な課題ではあるが,単に延命のみを目標とした処置を行うことには問題がある例も少なくない.
感染症対策上,最も重要なことは予防である.感染症の原因,悪化要因となっている高齢期特有の基礎疾患の治療が各種感染症の予防に重要である.すなわち,中枢神経疾患患者における誤嚥防止策,向精神薬による過鎮静の防止,前立腺肥大などの尿路系疾患の治療による尿路感染症の防止,寝たきり患者における褥瘡予防対策,糖尿病の治療などが重要である.また,インフルエンザや肺炎球菌性肺炎に対してはワクチン接種が推奨される.
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