増刊号 一線診療のための臨床検査
第II章 各論―検査編
1. 微生物検査
2)免疫学的検査
(1)抗原検査
岩沢 篤郎
1
,
中村 良子
1
1昭和大学藤が丘病院臨床病理科
pp.1176-1182
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100259
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はじめに
感染症起因菌の検査は病原体の検出(分離同定)が基本である.麻疹のように臨床症状・所見から診断可能な疾患は例外的であり,迅速な微生物検査は病初期における診断に有用である.しかし,感染症の原因となる病原微生物の分離には,時間や経費,設備,熟練を要し,検体採取時期,サンプリングの仕方,検体の保存または輸送方法なども結果に影響する.また,分離不可能あるいは困難な病原体も多く,病原体がpassenger pathogenか原因病原体かの判定は,抗体検査,臨床症状,臨床所見,理学的所見,他の臨床検査所見などから総合判断する必要がある.
DPC(Diagnosis Procedure Combination,包括評価制度)時代を迎え,感染症の迅速診断は重要性を増している.培養によらない簡便な迅速検査と,その結果に基づいて開始される特異療法は,医療効率を上げ患者の苦痛を軽減するばかりでなく,救命医療や感染症対策の決定打となることもある.
簡易迅速検査は,ベッドサイドテストとかnear-patient testingなどといわれていたが,1990年代に入りPOCT(診療,看護などの医療現場での臨床検査)に統一された.POCTの臨床検査に占める割合は,ますます拡大するといわれている.
ここでは,分単位(数分間から1時間以内)で判定可能な免疫学的方法を中心に簡易迅速抗原検査について述べる1~3).
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