コラム
耐性菌の奇々怪々
菅野 治重
1
1高根病院内科
pp.1153
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100253
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抗菌薬の耐性菌は感染症の治療において大きな脅威である.しかし最近は臨床的には耐性と考える必要がない“耐性菌”が多数登場し,臨床医を混乱させている.この混乱の原因の一つが検査室における無原則的な“耐性検査”である.“耐性”とは,その抗菌薬に感性を示し,治療が有効であったものが,獲得した耐性因子によってその抗菌薬に耐性化し,治療が困難になったものを指す.すなわち“獲得耐性”である.レンサ球菌におけるアミノ配糖体系薬など,元来その抗菌薬が無効な場合は“自然耐性”として区別している.
感受性試験では,感受性測定培地への栄養素の添加,接種菌量の増加,培養時間の延長,培養温度の変更,などによって最小発育阻止濃度(MIC)は上昇する.このため現在のMueller-Hinton培地はその成分(アミノ酸の種類と量,Ca2+・Mg2+濃度,NaCl濃度,pHなど)が厳しく規制されている.これは多くの抗菌薬のMICが高精度に測定できるようにClinical Laboratory Standards Institute(CLSI)が約30年かけて改良を繰り返してきた結果である.
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