増刊号 一線診療のための臨床検査
第I章 総論―臨床編
11. 手術に関連した検査
1)術前検査
草地 信也
1
,
石橋 弘成
1
,
炭山 嘉伸
1
1東邦大学医療センター大橋病院第3外科
pp.1115-1119
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100245
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
手術を大別すると,①局所麻酔による侵襲の少ない手術と,②全身麻酔による侵襲の大きな手術とに分けられる.各々の侵襲レベルにより術前検査も変わってくる.
どちらにも必要な項目としては,感染症(B型肝炎,C型肝炎,HIVなど)であり,医療従事者の職業感染予防の意義が大きい.わが国では,術前検査として行われているが,欧米では,すべての患者を感染症として扱う標準予防策(Standard precaution)の考えから行われていない.患者さんの通常の全身状態が良好で,局所麻酔のみで済む手術であれば,通常は局所麻酔のアレルギーチェックのみでも十分である.ただし,高齢者では脳梗塞,心筋梗塞などの術前合併症により,種々の薬剤を投与されている方が多い.なかには自分自身でどのような薬を飲んでいるかわかっていない方も多い.このため術前に抗凝固剤の投与がされていたかどうかすべての患者さんのチェックができない可能性がある.抗凝固剤の中には1週間以上の休薬が必要なものもあり,これを見落とすと重大な術後出血を起こすこともある.このためにも,術前には出血,凝固系,輸血が必要となる場合を想定して血液型を調べる.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.