海外見聞記・10
術前検査
中村 宏
1
1慶大泌尿器科
pp.479
発行日 1964年5月1日
Published Date 1964/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203776
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手術患者が入院して,手術迄にもつて行くwork-upの仕方は,根本的には同じだつたが,こまかい点で多少の違いはあつた。一番大きな違いは病歴の取り方が非常に詳しく,現症も極めて注意深く丁寧に診察するが,臨床検査は意外に簡単だつた,ということだ。Wardの患者が入院すると,先ずインターンが行つて詳しく病歴を聞き,眼底検査,神経学的検査迄含めて完全な現症をとる。病歴と現症でカルテに裏表5〜6枚になる位詳しく記載する。症例報告等の場合,このインターンのwork-upが元になる。次に1年目又は2年目のレジデントが診て,泌尿器科的事項に重きを置いて,カルテに裏表1枚位に病歴,現症を記載する。最後にチーフ・レジデントが来て,インターンとアシスタント,レジデントから要点を聞いて,肝心なことのみ患者に問診し,微候の陽性のところのみ診察して,カルテに半頁位に要約して記述する。このチーフ・レジデントのノートが一番要を得ていて,要点のつかめる場合が多い。複雑な病状を短かいノートに要領よくまとめられるようにならなければ一人前のチーフ・レジデントになれないというわけだ。
インターンのノートで感心したのはROS (review of system)という項目のある点で,日本のカルテには余り一般的ではないが,これは仲々良いやり方だと思つた。
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