増刊号 一線診療のための臨床検査
第I章 総論―臨床編
1. 感染症の検査
2)尿路感染症
佐藤 文哉
1
,
小野寺 昭一
1,2
1東京慈恵会医科大学感染制御部
2東京慈恵会医科大学泌尿器科学教室
pp.1001-1003
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100213
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定義と分類
尿路感染症(urinary tract infection,UTI)とは微生物,多くは細菌が尿路に感染している状態であり,腎実質,腎盂,尿管,膀胱,尿道あるいはこれらの複数の臓器に発生しうる.尿道炎,膀胱炎は表層性感染で粘膜内にとどまるが,腎盂腎炎は実質臓器の感染症である.臨床的には正しく採取された中間尿の定量培養で105/ml以上の細菌が存在するのが厳密な定義であるが,それ以下(103~104/ml)でも症状を有する患者では尿路感染症と判断することがある.また膀胱穿刺や清潔操作下で得られた導尿では103/mlでも有意の細菌尿である.
尿路の基礎疾患(表1)の有無により複雑性尿路感染症(complicated UTI)と単純性尿路感染症(uncomplicated UTI)とに分類される.前者はさらにカテーテル留置の有無で分かれるが,慢性,反復性の経過をとりやすい.男性においては前立腺疾患の発症に伴い増加傾向となる.一方,後者は急性発症で,性活動期の女性に多く,男性に発症するのは極めて稀である.
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