オピニオン
イギリスにおける上級CT制度を考える
小林 忠男
1
1済生会滋賀県病院臨床検査部
pp.1450
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100183
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はじめに
イギリスの医療制度がかつての「揺りかごから墓場まで」を掲げる理想の国から大きくずれが生じてきていることは,意外と知られていない.すなわち,各国の医療費の国内総生産(gross domestic product,GDP)比からみると先進7か国のうち,イギリスは医療費が最下位の第7位で,日本は第6位に位置している.イギリスの一部の医療制度をお手本とした日本の医療改革が疑問視されているのもここに一つの原因があるといわれている.また,2000年に5年かけて医療費を1.5倍に増やす政策の結果がそろそろ出るらしい.もしこれが成功したならば日本は多分,医療費で先進7か国中,最下位になるともいわれている.一方,イギリスの医療従事者,特に医師やナースの不足は深刻なものがある.国際学会などでよくNHS(National Health Service,国民保健サービス)から「イギリスで医師として働きませんか」などの呼びかけパンフレットや景品などが配布されているのをよく目にする.さらに,イギリスのナースの多くが外国人である話も「出稼ぎフィリピン人ナース」(地域によってはや7割がフィリピン人看護師)としてあまりにも有名である.しかし,ナース同様にイギリスから流出する医師などの影響によって,国内の医師不足も深刻で,特に細胞診の専門医の不足も例外でなく問題となっている.
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