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百聞は一見に如かず・23 病理が深く関わる乳癌治療
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.1366
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100160
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乳癌(breast cancer)は近年罹患率が上昇している癌の一つで,現在年間約30,000人に発症し,これは1970年の3倍に相当し,2015年には48,000人になると予想されている.しかし,幸いなことに乳癌の多くは他の癌(消化管の癌など)と比較して予後の良い癌であり,近年,診断や治療に大きな進歩がある.乳癌は乳腺組織から発生する悪性腫瘍の99%を占め,40ないし50歳代に発見されることが多く,触診,マンモグラフィ,超音波検査などを行い,最終的に確定診断するには穿刺吸引細胞診(fine-needle aspiration,FNA;aspiration biopsy cytology,ABC)あるいは生検がなされる.乳腺病変のなかには良性/悪性判定の非常に難しいものもあり,不必要な手術を極力避けるためにも慎重な診断が求められる.
治療法は従来からの乳房切除術(拡大乳房切除術;胸筋合併乳房切除術;胸筋温存乳房切除術;全乳房切除術など)に加えて,限局性の病変では乳房温存手術(乳房扇状部分切除術;乳房円状部分切除術;腫瘤摘出術など)を行う機会が増えつつある.
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