Laboratory Practice 生理 超音波像の読みかた
弁膜疾患
三神 大世
1
1北海道大学医学部保健学科検査技術科学専攻
pp.928-935
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100143
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はじめに
今日の弁膜疾患の診断は,その発見から重症度評価,原因診断,手術適応判定と術式選択,さらには術後の追跡まで,心エコー法が一手に担っているといっても過言ではない1,2).本シリーズの特長のひとつは,超音波画像と他の画像診断や病理所見との比較にあるようだが,弁膜症ではこれが相当に難しい.まず,心エコーの診断能力が突出しているため,他の画像診断との比較があまり意味をなさない.一方,手術治療の進歩で弁膜症患者の予後は改善し,手術を行わずに亡くなり剖検に至る例は非常に少なくなった.また,術式は自己弁温存へとシフトし,摘出弁も少ない.畢竟,心エコー診断を検証できる機会は,手術時の肉眼的観察が主体とならざるをえない.
近年,リウマチ性弁膜症の減少を反映し,弁膜症の疾患構成は大きく変化してきた.かつては弁膜疾患を代表した僧帽弁狭窄症が激減し,僧帽弁逆流や大動脈弁逆流の頻度が相対的に増えてきた.本稿では,このような逆流性弁疾患に重点を置き,要所には手術所見との対比を挿みつつ,成人弁膜疾患の心エコー診断のポイントを整理してみたい.
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