コーヒーブレイク
化学物質の光学活性と生体
西村 繁
1
1信州大学大学院医学研究科
pp.919
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100137
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生体を構成する物質にはたいてい,光学異性体と呼ばれる異性体が存在する.光学異性体は,物質を鏡に映した像に相当するもので,炭素原子に結合する4個の原子などがすべて異なる場合にみられる.理論上二つの光学異性体の存在確率は当然等しいが,生体中には通常2種類のうちの一方の異性体のみが存在するとこれまでの教科書では書かれている.例えば,アミノ酸(除グリシン)の場合,L-型,D-型という2種類の光学異性体のうち,L-型のみが存在している.しかし,最近はD-型の存在の報告もされている.
なお,光学異性体の分類法には上記のL-型,D-型のほかに,国際的な標準としてR体,S体というものがある.これによると,アミノ酸の場合,システイン(シスチン)はR体,他はS体のみが生体中に存在するということになる.
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