- 有料閲覧
- 文献概要
(1) 再生不良性貧血(aplastic anemia)
多能性幹細胞の障害に基づく骨髄低形成により,末梢血が汎血球減少症(pancytopenia;貧血,好中球減少,血小板減少)を示す疾患.先天性のものと,後天性のものとがあり,薬剤,放射線被曝,ウイルスなど原因の明らかな二次性と原因不明の特発性とに分けられる.特殊型として発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria,PNH)に合併する例がある.〔病理〕骨髄は脂肪髄に近い低形成性部が大半を占める.赤芽球,顆粒球ともに減少し,特に骨髄巨核球の低形成ないし無形成所見(6/mm2未満)は重要な所見である.島状に散在する造血巣はしばしば限局的に過形成を示すので,吸引骨髄で汎血球減少症と対照的に過形成性骨髄を認めることがあるのはこのような部位が採取されることによる.輸血の頻度に比例して,中等度以上のへモジデリン沈着を伴う.
(2) 巨赤芽球性貧血(megaloblastic anemia)
ビタミンB12あるいは葉酸欠乏による核DNA合成障害に基づく無効造血である.RNAや蛋白質の合成は保たれ,細胞形態学的に核と細胞質との成熟乖離を示すのが特徴的である.〔病因〕ビタミンB12は胃で産生される内因子と結合し,遠位回腸から吸収されるので,典型的な萎縮性胃炎のほかに食餌性欠乏,胃摘除後状態,回腸摘除後状態のいずれでも発症しうる.〔病理〕巨赤芽球の特徴は核が類円形,核網が繊細,1~2個の大型明瞭な核小体,比較的均質な細胞質を持つ大型細胞である.ヘモグロビンを含有し,赤血球に近い色調を示すにもかかわらず,脱核していない成熟細胞を多数認める.顆粒球や骨髄巨核球の核にも大型化や過分葉化を認める.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.