研究
シンクログラフによる血清脂質分析法の検討
植田 寛
1
,
伊藤 機一
1
,
手嶋 豊彦
2
,
狩野 元成
2
,
只野 寿太郎
3
1中央鉄道病院中央検査室
2日本特殊分析研究所
3東海大臨床病理
pp.639-643
発行日 1975年6月15日
Published Date 1975/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917702
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緒言
血清脂質の測定法は,従来からの各脂質成分を個別的に定量する方法が頻用されている一方,Fredrickson1)らの高脂血症の分類報告以来,脂質分画をパターンとしてみる電気泳動法2)や薄層クロマトグラフィー(TLC)3,4)などの同時分析法が開発されてきた,しかし,これら電気泳動法ならびにTLC法は,操作の繁雑性に比し,精度の高いデータが得にくく,また多数検体の処理には長時間を要するなど,日常臨床検査として導入するには多くの難点を有している.著者らが検討したシンクログラフ(Thinchrograph)は,薄層クロマトグラフィーによって分別された各分画を水素炎イオン化検出装置5〜8)によって,定量的に自動分析する装置であり,脂質成分9)のみならず薬物,生体代謝産物などの分離測定に用いられている.脂質に関しては,標準試料やヒト血清抽出液を用いての展開溶媒の検討および分離能に関する報告がある10).河合ら11,12)は,薄層クロマトグラフィーによって得られる血清脂質分画像をリポグラムと称し,血清脂質の変動をパターンとして認識することを提唱している.今回,著者らは,内部標準物質を使用し,リポグラムに定量性をもたせることを試み13,14),同時再現性,従来法との相関性などの基礎実験を行った他,正常人の血清脂質分画パターンならびに各分画の正常値を検討したので報告する.
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