特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査
4 リポ蛋白
7.電子顕微鏡による血清リポ蛋白の観察法
中島 久実子
1
,
秦 葭哉
1
Kumiko NAKAJIMA
1
,
Yoshiya HATA
1
1慶応義塾大学医学部内科
pp.1372-1378
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917533
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はじめに
血清リポ蛋白の研究は,従来からの血清脂質の動態の解析に加えて,この数年,アポ蛋白の定量の面からも著しい発展があり,脂質・アポ蛋白複合体としての「リポ蛋白粒子」という概念が一段と強く意識され,粒子としての働きが関心を集めてきている.しかしながら,実際に電子顕微鏡を用いての形態学的研究は,機器の問題や方法の煩雑さもあり,現在のところ報告はあまり多くはないのが実情である1〜6).リポ蛋白の研究に形態的観察がより汎用されることを期待し,われわれが動脈硬化組織に蓄積した脂質球をはじめ7,8),動脈組織内のリポ蛋白および血清リポ蛋白を透過電顕ならびに走査電顕で観察するのに用いた方法9)を解説し,参考に供したい.
リポ蛋白に限らずアーティファクトでない,よりよい顕微鏡写真を得るためには,大きく分けて,電子光学系の操作と観察に適した試料作りの2点に対する注意が必要である.前者については,装置により操作法も異なり使用機器のマニュアルを熟読するほかないので,ここでは後者の観察に適した試料の作りかたを中心に述べ,観察上の注意点に触れることにする.
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