特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査
4 リポ蛋白
8.遺伝型リポ蛋白Lp(a)
川出 眞坂
1
Masaka KAWADE
1
1岐阜大学医学部臨床検査医学講座
pp.1379-1382
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917534
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リポ蛋白Lp(a)とは
リポ蛋白Lp(a)は1963年,ノルウェーの遺伝学者Berg1)により,βリポ蛋白の遺伝的変異型(geneticvariant)として報告されたものである.彼は血清中のLp(a)をOuchterlony法で測定し,ノルウェー人の34%がLp(a)陽性で,家族調査によりLp(a)は常染色体優性方式で遺伝することを認めた.その後Harvieら2)はラジオイムノアッセイ(RIA)により測定し,Lp(a)はすべての人に検出されるが,その濃度に個人差が大きく,いわゆる量的遺伝素因(quantitative genetictrait)であることを明らかにした.
Lp(a)が発見されてから20年以上が経過し,この間に物理化学的性状,代謝などが明らかにされてきたが,今日なおその生物学機能は不明である.Lp(a)はヒト以外には霊長類の血液中に検出されるのみで,マウス,ラット,ウサギなどの実験動物には存在せず,動物実験が困難なことも研究が遅れている一因であろう.
以下,Lp(a)について明らかにされていることをまとめてみよう.
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