今月の主題 自己免疫病
技術解説
自己抗体量の測定法—抗赤血球抗体の定量を例として
小川 博遊
1
,
恒松 徳五郎
1
Hiroyuki OGAWA
1
,
Tokugoro TSUNEMATSU
1
1島根医科大学第三内科
pp.249-254
発行日 1983年3月15日
Published Date 1983/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917408
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自己免疫疾患の体液性免疫の異常として自己抗体の出現が特徴であり,その検出には抗体の種類により凝集反応,蛍光抗体法,RIAなど種々の免疫学的手技が用いられている.自己抗体は言うまでもなく免疫グロブリンの一部分を構成するものであり,したがってそれらの測定値は絶対量で表現されうるものであるが,手技的な面での理由などにより実際にはいずれの検査法においても被検血清の希釈倍数や陽性標準血清との相対的な抗体価で表現されている.
しかし血液成分に対する自己抗体に関しては,抗原に付着した形で容易に試料を得られ,したがって抗原に付着する自己抗体を酸処理などにより抗原より分離して,その抗体量を定量的に測定することも可能である.本文には赤血球に対する自己抗体量の測定法を例として取り上げた.測定法は大別して二つの過程より成り,一つは赤血球からの自己抗体の分離に関するものであり,もう一つは分離した抗体の微量測定のためのRIA二抗体法に関してであり,それぞれの手順を具体的に述べた.抗赤血球抗体を正常人や自己免疫性溶血性貧血患者について測定してみると,その測定結果はCoombs試験の成績と一致するとともに高感度でかつ定量性にも優れていることが実証された.
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