Ex Laboratorio Clinico・6
血液スペクトル
柴田 進
1
1川崎医科大学・内科
pp.633-639
発行日 1977年6月15日
Published Date 1977/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917384
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30歳を迎えた血液スペクトル
今,私の机上に最新刊の書物が1冊置いてある.それは佐々木匡秀博士の「血液スペクトルを中心にした臨床検査—その読み方と病的変動」(講談社サイエンティフィク)である.
血液スペクトルと言えば,実に30年ばかりも昔に誕生した検査中心の診察作法である.その産声をあげさせる産婆の役目を果たしたのは実は私自身であったけれども,その後,高橋浩博士(天理よろづ相談所臨床病理部長),水田亘博士(神戸中央市民病院臨床病理部長),村田健二郎博士(関西医大中検部長),宮地隆興博士(山口大医学部教授),上田智博士(川崎医大教授)そして佐々木匡秀博士(川崎医療短期大学副学長)らがまだ若くて宇部に居たころに,慈愛をもって育て上げ,今日それがあるごとく"非常に有用な"若者(診察法)に仕上げてくれた.この若者はいまや齢壮年に達したが,誕生以来世間から時には無視されたり,白眼視されることも多かった.ごく最近,海の彼方(米国)で類似の子供(biochemical profiling)が生まれてから,新しい眼をもって見直されるようになった.もともと私は現在よりも未来に気を取られがちで,過去については多くの出来事を忘れている.したがって血液スペクトルの生い立ちを書くようにと要請されたときには多大のためらいを感じた.
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