技術解説
FTA-ABS法・螢光抗体法(吸収法)による梅毒の診断法
川村 明義
1
,
村田 道里
1
,
川島 豊作
2
1東京大学医科学研究所
2日本栄養化学株式会社
pp.479-484
発行日 1968年7月15日
Published Date 1968/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917239
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梅毒の血清学的検査は,従来reagin反応を中心として行なわれ,一部特異反応としてTPI(Treponema pallidum immobilization)試験,TPCF(Treponema pallidum complementfixation)反応,RPCF(Reiter protein complement fixation)反応が行なわれてきた。reagin反応は感度が高く,日本での一般検査では約2%の陽性率を示し,その内の約10〜20%は生物学的偽陽性(BFD)反応とされている。特異反応中TPI試験は,生きた病原体の供給と手技そのものが煩雑であり,TPCF反応は一定の力価の抗原が得難いため,ともに一般化には問題がある。RPCF反応は,梅毒患者血清に対し反応が弱いことがあり,また非梅毒者にも多少陽性を示すなど,特異性に問題がある。
FTA-200これらの方法の欠陥をおぎなう方法としての診断法FTA(fluorescent treponemal antibody)-200法は1957年以来Decon,Harrisらによって老案,改良されてきた方法である。すなわち病原トレポネーマの塗抹標本に被検血清を200倍に希釈したもの(それより濃いと非特異螢光の出現が著しい)を反応させ,もし被検血清中にトレポネーマに対する抗体が存在すると,当然,抗原・抗体結合物が生ずるはずである。
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