技術解説
螢光抗体法における観察法とその進歩
川村 明義
1
,
和田 計二
1
,
浜島 健治
1
,
村田 道里
1
1東大医科学研究所免疫学研究部
pp.28-37
発行日 1973年1月15日
Published Date 1973/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907944
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
螢光顕微鏡の原理とその開発の歩み
螢光抗体法は原則として特異的抗原・抗体結合物中の抗体に標識された螢光色素を励起してやり,その発光(螢光)を観察する方法である以上,特殊の顕微鏡(螢光顕微鏡)―高エネルギーの発生装置,励起光の選択フィルターと,螢光は通すが散乱または反射励起光はカットするフィルターシステム,特に本法の観察に有利に設計された顕微鏡(暗視野コンデンサー,対物レンズ,ステージなど)―を必要とする.そして,その結果,①視野が明るく,広く,②コントラストが明瞭で解像力にすぐれ,③操作法が簡単なうえ,種々のフィルター系を組み合わせ用いられることが要求される.
螢光染色標本の観察とは異なり,螢光抗体法では時としてきわめて微量の螢光色素の発光をもトレースする必要があり,したがって,用いる螢光色素の特性にのっとり,すべて上記の条件を満たす装置の開発に中心がおかれた.螢光抗体法の生いたちからすでに40有余年経過した今日,おのずから用いられる螢光色素も選別され,現在ではその95%が青緑色の螢光を出すfluorescein isothiocyanate(FITC)で,残りの5%が赤橙色の螢光を用すtetramethylrhodamine isothiocyanate(TRITC)とtetraethylrhodamine(rhodamine B 200 RB 200)にしぼられている.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.