特集 自動化臨床検査法
化学
アルブミン
大島 一洋
1
1徳島大病院中検
pp.1235-1238
発行日 1973年11月1日
Published Date 1973/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908284
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体液,特に血清中のタンパク質の変動を扱う場合,総タンパク量のほかに個々の分画を定量して質的異常を把握しなければ病態を的確に判断することはできない.最近,この方面における臨床検査法が進歩し,総タンパク量,A/G比,電気泳動による分画,免疫グロブリンおよびリポタンパクの定量などが行なわれ異常タンパク血症の診断や病態解明に大いに役だっている.これらの測定法は,臨床検査の使命である多数処理かつ迅速な分析という点からみるとまだ満足すべきものではないが,最近の自動化機器の発達と測定法の改良により,総タンパク量とその過半を占めるアルブミンについては自動化臨床検査法が日常検査に取り入れられつつある.
アルブミンの測定法(表1)はいずれの方法でも一長一短があるが,必要血清量が比較的少なく,測定時間が短縮され,一段階で多量処理できる色素結合法が自動化に最適である.流れ方式にもディスクリート方式にもこの測定原理が応用され,色素として表2のごとく,2-(4'-ハイドロキシベンゼンアゾ)安息香酸(HABAまたはHBABA),ブロムクレソール緑(BCG),メチルオレンジのほかにフェノール赤,スルホブロムフタレインなどが報告されている.これらの色素を一定のpH,塩類濃度および温度下でアルブミンと結合させた場合に,結合量は高い再現性を示すので,色素を比色することでアルブミン量を求めることができる.
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