増刊号 輸血検査実践マニュアル
総論
輸血の構成成分とその機能
血漿成分
アルブミン
中田 浩一
1
,
坂本 久浩
1
1産業医科大学病院輸血部
pp.44-47
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903096
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はじめに
ヒトの血液から製造される血液製剤のうち,赤血球,血小板,血漿などの輸血用血液成分は,血液事業の推進によって献血により国内自給自足がなされている.しかし,アルブミン,グロブリンなどの血漿分画製剤は昭和50年代から使用が急増し,1985年にはわが国は全世界で製造された血漿分画製剤の約1/3に当たる384万(原料血漿換算)を使用しているにもかかわらず,国内自給率はわずか2〜4%という状況に至り,国際的な非難を浴びることとなった.このため,厚生省は1986年にアルブミン製剤を含む血液製剤の使用に関するガイドライン1)を示し,その使用の適正化を推進した.その結果,1986年から血漿分画製剤使用の増加は頭打ちとなり,徐々にではあるが需要と供給のバランスは改善しつつある.しかし,なお漫然と使用されている例も多く,今後さらに適正な使用の推進が望まれ,そのためにはアルブミンの基礎的な物理化学的性状や生理的および臨床的意義についての理解が不可欠と考えられる.
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