特集 血液検査の問題点
9 白血球数算定の問題点
新谷 和夫
1
1関東逓信病院第2臨床検査科
pp.900-905
発行日 1968年12月1日
Published Date 1968/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916544
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はじめに
白血球数算定は,臨床上最も頻繁に行なわれる検査の1つであるが,その精度という点になると,未解決の問題が多かった。いま白血球算定の歴史をふり返ってみると,当初は臨床医が自分で採血し,算定を行なうという形が長く続けられ,ときとして異常なデーターが出ても,ただちに算定をやり直すことで処理されて,大きな不都合は感じられずに終わっていた。もちろん杉山1),Berksonら2)先人によってメランジュール,計算盤による視算法の誤差が推計学的手法で追及されてはいたが,器具・手技の誤差が大きく白血球算定の精度の問題は,実際上,未解決のまま残ることとなった。
このような時期に,中央検査制度が発足し,検査が医師から技師の手に移ったので,臨床所見と全く無関係に白血球算定が行なわれることとなった。当然の結果として,大きな混乱が起こったが,一層混乱を助長した要素として,二重蓚酸塩による抗凝固血を白血球算定に用いたという事実をあげねばならない。このため,二重蓚酸塩に対する反省期ともいうべき時代がくることとなり,血算には耳朶血が主として用いられる旧態依然たる状態が続いた(図1)。
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