入門講座 生化学
pHとは
小延 鑑一
1
1京大・中央検査部
pp.431
発行日 1968年6月15日
Published Date 1968/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916411
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水溶液の酸性あるいはアルカリ性の強さを示すのにpHなる物指しが用いられています。リトマス試験紙が酸性で赤,アルカリ性で青になるのは誰でも知っています。日常,美と健康に大切な果実類はほとんどが酸性であります。リンゴpH2.9〜3.3,ナシ3.7〜4.2,ブドウpH3.0〜3.3,トマトpH3.8〜4.6,オレンジpH3.0〜3.5,レモンpH2.4〜2・8,(禁断の木ノ実のpH?皆さん測定してみて下さい)。ビールpH4.4〜4.8,醤油pH45〜4.8,味噌pH4.5〜5.5位といわれています。このように私達の口常の食物はその味にそれぞれ個性がありますが,このpHの面から見ますといずれも酸性であります。また女性の美しさの形容として"水も滴るような…"との表現がありますが,純粋な水とは化学的にはpH7.0で,教科書などには"無色,無臭,無味…"と定義されています。
このpHは水溶液1l中に含まれている水素イオンの濃度—たとえば0.001Mo1とか0.00000001 Mo1(水素イオン1Molは1g)という値であるために小数点以下何桁も0を書くのが不便であるのでその指数10−3,10−8をとると,この対数が−3,−8になる。
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