特集 小児の検査
小児ウイルス性疾患への螢光抗体法の応用
藤井 良知
1
,
時松 昭
1
1東大病院分院小児科
pp.641-646
発行日 1967年9月15日
Published Date 1967/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916199
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はじめに
小児科領域において最も大きな比重を占める疾患は,第一に感染症である。そのうちで,臨床検査という立揚からみると,感染症でも細菌性疾患はすでに検査方法も一応確立し,これが小検査室にまで普及されているが,一方ウイルス性疾患に対する検査法はその歴史の新しさもさることながら設備と技術面に大きな投資を必要とするため,細菌検査ほどは実用化されていないのが現状である。また,臨床家の側から述べると,ウイルス性疾患はある程度まで臨床症状や流行の状態で診断が可能であることや,今までのウイルス分離や血清反応による検査法では診断確定までに時間がかかり,たとえ診断がついたとしてもその時にはすでに病気は回復しており,治療面には何ら役立たなかった経験などで,一部の臨床家以外からは敬遠されていたことも事実である。しかし,たとえばインフルエンザ初発患者の診定の場合とか,海外への住来が頻繁となった今日,天然痘と水痘との鑑別を至急必要とする場合4)にはどうしても迅速かつ正確性をもった検査法が必要となってくるのである。これから述べる螢光抗体法は臨床方面への応用も最近盛んとなり,これらの要求に十分答えてくれるその普及が望まれる技術である。螢光抗体法によると患者検体採取後早くて1時間,遅くとも数日以内に確定または鑑別診断が可能であり,小児科領域に特に多いウイルス性疾患へ応用することは有意義なことと思われる。
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