技術解説
皮膚真菌症の検査<1>—直接検査法
香川 三郎
1
1東大医学部皮膚科
pp.1103-1110
発行日 1966年11月15日
Published Date 1966/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916012
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真菌症の診断を確定するには病巣部より採取された検査材料中に菌要素を直接みいだすこと(直接検査),培養によって原因菌を分離し,これがいかなる菌種であるかを同定すること(培養検査)の二者が必要である。というのは真菌類では元来病原性のものと非病原性のものとがあり,病原性のものはともかくとして,元来非病原性のものでも時に病原性をもつことが少なくないからである。今,培養によってある種の真菌が得られた時,これが病原性を持つもの,すなわちその疾患の原因菌であるか否かを決定すべき段階において,その菌が元来非病原性のものである時には,被検材料中にその菌に見合う菌要素が認められたか否かが問題になる。一般に病原をなしている場合,材料中に証明される菌要素は寄生形態を示し,増殖している像を呈するので,この点に注目して観察する必要がある。
たとえば喀痰中からアスペルギルスが分離培養された場合,喀痰中にこの菌に見合う太い菌糸ないし菌糸塊,頂嚢と呼ばれる本菌に特有な分生子柄の先端膨大部などが認められれば,この菌の病原性はほぼ確定するが,仮性菌糸,分芽胞子等カンジダに見合う菌要素が証明された場合は,培養されたアスペルギルスは汚染菌,すなわち非病原菌と考えるのである。
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