技術解説
血清学検査でつかう動物の扱い方—主にその免疫注射法・採血法
松橋 直
1
1東大・血清学
pp.123-129
発行日 1966年2月15日
Published Date 1966/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915901
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はじめに
ちかごろは,日常の血清学的検査に自分で動物からとった材料をつかうことはすくなくなってきている。たとえば,補体をとるためにはモルモットを全採血したり,心臓から採血して血清を分離したものであるが,この頃は,補体価の高いモルモット血清を凍結乾燥したものが市販されている。また,どうしても自分でとらなければならないと考えられていたヒツジの赤血球ですら,保存液であるオルスィバー(Alsever)液に混合し,低温に保存したものが売りだされている。まったく便利になったものである。しかしよい材料を使わなければならないとき,特殊な目的の実験をおこなうときは,どうしても自分で免疫注射をしたり,採血をしたりしなければならない。また,それよりもまして大切なことは,血清学なるものを理解するには,自分自身の手で免疫注射をして,ときどき採血して,その力価をはかってみることがよい手段である。またこうすることにより,抗原とか抗体というものの概念を適確につかむことができるからである。
そこで今回は,血清学的日常検査でつかう可能性のある動物,その飼育法,免疫注射法,採血法などをのべてみることにしょう。
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