特集 日常検査法の基礎知識と実技
血清学
輸血に関する検査法
臼井 美津子
1
1東京大学・血清学
pp.1231-1236
発行日 1965年12月10日
Published Date 1965/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915859
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輸血の実施にあたって第一に要求されることは,安全な輸血,有効な輸血である。安全な輸血とは,輸血の実施中または実施後におこりうる副作用および不規則抗体の発生とか梅毒,肝炎などの感染をできるだけ予防した輸血であり,有効な輸血とは,輸血された血液が受血者の体内で不自然に破壊されることなく正常な機能をいとなんで輸血の目的を達することである。輸血のための検査はすべてこの目的のために行なわれる。血液型の適合した血液をえらんで輸血することが第一条件であるが,それと同時に健康者の健全な血液をえらぶことも更に大事なことである。そのために血液の比重,血色素量の測定,さらに梅毒血清反応などがおこなわれる。
輸血された血液が健康な健全な血液であっても,受血者がたまたまその輸血された血液の血球成分あるいは血清成分に対する抗体をもっていると,受血者の体内で抗原抗依反応がおこり,そのために発熱やじんましん,悪感などの副作用があり,ひどいときにはショックをおこして死亡したりする。一方輸血された血液も抗体のために寿命が著しく短縮され,すみやかに破壊されてしまう。また逆に,給血者の血清中に,受血者の血球に対する抗体があると,受血者の体内で受血者血球に結びついてすみやかに受血者血球は破壊されてしよう。
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