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司会(松橋)本日はお忙しいところをお集まりいただいてありがとうございました。現在輸血が非常に大きな問題になっており,とくに最近血清肝炎がふえているが,その原因が供血者がある層に固定してしまったためであり,これを解消するにはどうしても献血制度によらなければならないということがいわれております。きょうは焦点をしぼり,産婦人科の官川先生にも御出席いただいて,よく検査室では妊婦の血液型を調べましたり,抗体検出を行なったりすることがありますが,それはどういう意味をもっているか,というようなことを一般の医学常識として述べていただきたいと思います。また小児科からも岡田先生に御出席願いまして,小児科のほうでも血液型の不適合が原因になると考えられる疾患が問題になっていますので,そういった点についてまた臨床検査室の皆さんに解説していただければと思っております。それからまた検査室ということになりますと,わが国では残念ながら血液型の問題ですとか抗体検出の問題は,ある特殊なところに限られてしまっており,たとえば大学病院ですとか中央の大病院でもまだ十分に行なっていないような状況です。これなどではまことに残念なことであります。先年アメリカをまわって歩いた感じにいたしましても,小さい病院でもけっこう詳しい血液型などの問題を扱っております。それと申しますのは,血液型と輸血ということがかたく結びついているからです。それで輸血の安全を期するためには,やはり血液型をちゃんと検査しなければならない。また後ほど官川先生からお話がありますように,妊娠との関係においても重要な意義をもっているからです。そんなことがありますので,本日はこの産婦人科関係及び小児科関係の血液型検査並びにその輸血にまつわる問題などに限ってこの座談会をもったわけです。
ところで血液型検査に送ってくるうちで,産婦人科領域が非常に多いわけでありますけれども,それがどういう意義をもっているか,というようなことにつきまして,官川先生から解説をしていただきたいと思います。
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