医学常識
癌と肉腫の概念
大橋 成一
1
,
小林 昭夫
1
1国立東京第一病院・研究検査科
pp.808-813
発行日 1965年9月15日
Published Date 1965/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915805
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はじめに
正常の組織は傷をうけ欠損すると再生するし,炎症のため障害されても直ちに修復機転が働いて,一定の限度と調和の下に治癒し,異常ないし過剰の発育をすることはほとんどない。
しかるに腫瘍組織では,その個体の生存目的とは無関係に,無制限に増殖し,個体の生命を脅かすのである。これを自律性増殖という。すなわち,このような生物学的特性を有する細胞の新種が,私共の体細胞より,癌細胞化といわれる過程を経て,できるのである。
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