講座 検査技術者のための臨床病理学講座12
臨床化学検査(4)—無機塩類の検査とその臨床
河合 忠
1,2
1中央鉄道病院臨床検査科
2順天堂大学医学部臨床病理学教室
pp.436-439
発行日 1965年5月15日
Published Date 1965/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915760
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
われわれの体は体重のほぼ70%を水分が占め,その体液(水分)のなかで一部の塩類はイオン化して存在する。このイオンの状態で存在しうる無機塩類のことを一般に電解質とよびこれらの電解質は生命の維持に欠くことのできない重要な役割をもち,種々の病気で各電解質相互間の量的変動がおこる。生体内細胞の活動性を維持するには細胞内体液の(1)水素イオン濃度(pH),(2)滲透圧,(3)各種イオンの種類と濃度,(4)膠質の種類と濃度,(5)栄養素の補給,(6)代謝不用産物の排泄,(7)細胞の温度などが適当でなければならない。(1)のpHの変動を臨床的に酸塩基平衡の異常とよび,(2)(3)の変動は電解質平衡の異常とよばれているのである。電解質はイオンの形で体内に存在するから,必ずそれが溶解している水分が必要で,電解質平衡と水分平衡とは臨床的にきりはなして考えることができないし,また酸塩基平衡とも密接に関連している。それで無機塩類の臨床的意義とともに水分平衡,酸塩基平衡についても簡単にのべる。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.