特集 MATERNAL ADJUSTMENT
水・塩類代謝
伊藤 昌春
1
,
岡村 均
1
Masaharu Ito
1
,
Hitoshi Okamura
1
1熊本大学医学部産科婦人科学教室
pp.453-458
発行日 1989年5月10日
Published Date 1989/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208000
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生体内で,水は細胞内液と細胞外液との間を,塩類とともに移動して浸透圧平衡を維持している。この浸透圧は,内分泌系や自律神経系の複雑な機序によって,狭い範囲内で調節され,細胞の機能が維持されている。妊娠時には,主として胎盤より多量の性ホルモンが分泌されるため,この内分泌系に大きな変化が生じる。estrogenはrenin-angiotensin-aldosterone系を介して水・Naの貯留やCa代謝に影響を与え,progesteroneは抗aldos—terone作用や蛋白異化作用を持っている。また,蛋白同化作用を持つandrogenは,血清中の窒素化合物の増加や水・Na貯留を起こす。
新しい生命の誕生に伴い,水や塩類が蛋白質,糖質,脂質とともに妊婦に蓄積される。本稿では,妊娠時の水・塩類代謝の生理的変化と,異常な水・塩類代謝を伴う疾患について述べる。
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