講座 検査技術者のための臨床病理学講座10
臨床化学検査(2)—血漿蛋白質検査とその臨床
河合 忠
1,2
1中央鉄道病院臨床検査科
2順天堂大学医学部臨床病理学教室
pp.238-241
発行日 1965年3月15日
Published Date 1965/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915735
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血漿は血液の液状成分の総称であって血液の約55%を占めている。この液状成分のうちには数えきれぬ程の無機物および有機物が含まれている。その中で蛋白質は最も多く含まれる成分で正常人では6.5〜8.Og/dl含まれている。そして血漿蛋白質はいろいろな機能的役割りをもち,これによって血漿は体内における窒素の供給,体外からの侵襲や外傷に対する防ぎょ,体内のpHや滲透圧の保持,ならびに細胞の活動や機能の調節に役立っている。したがって,血漿蛋白質は生命の維持に重要な役割をもつと共に,体内の代謝により鋭敏に影響され,各種疾患で,多少とも変化を示し,この動きが診断に利用されるわけである。その変動は質的な変動と量的変動とに大別され,後者は主として種々の原発性疾患から二次的にあらわれるが,前者は血漿蛋白質の異常が主症状となり,正常血清には含まれない異常蛋白質が出現する場合をいっている。
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