今月の主題 肝疾患
総説
劇症肝炎と臨床検査
清水 勝
1
,
𠮷田 貴
1
,
本堂 克
1
,
川出 靖彦
1
,
高橋 善彌太
1
1岐阜大学・第1内科
pp.281-289
発行日 1980年3月15日
Published Date 1980/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915404
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劇症肝炎とは急性肝炎の経過中,意識障害をはじめとする重篤な臨床症状を呈し,短期間のうちに死亡する予後不良の疾患であり,本邦では1971年に開催された第57回日本消化器病学会で提唱された定義1)に従って診断されている.すなわち"急激に起こる肝広汎壊死に基づいて,急速に肝不全症状が現れる肝炎で,臨床像のうえで肝萎縮,進行性の黄疸,なんらかの精神神経症状を伴うものを指す.中でも肝性昏睡は疾患の重篤度を知るうえで有力で,発病前に健康であった症例では特に重要視されるべき症状である.したがって肝機能面では発病する前は正常状態であり,重篤な肝機能障害に基づく肝不全症状が6〜8週以内に現れる場合に限定する"である.
劇症肝炎は本邦では年間3,700例2)発生すると言われており,その治療成績ははなはだ悪く,最近4年間の全国集計の結果でも救命率は17.3%3〜5)と低く,治療に当たり早期診断,早期治療が重要なことは言うまでもない.
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