Ex Laboratorio Clinico・31
Abnormal fibrinogen "Nagoya"
高松 純樹
1
,
神谷 忠
1
1名古屋大学第1内科
pp.712-717
発行日 1979年7月15日
Published Date 1979/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915145
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
フィブリノゲン異常症とは
フィブリノゲンの質的異常については1944年Fanconiが,1955年にはIngramがその存在について示唆したが,両者とも明確にすることはできなかった.1958年ImperatoとDettoriは,血中フィブリノゲンが極めて低値である重篤な出血症状を呈する少女について報告した1).当時は正確な診断がなされず,後になりフィブリノゲン異常症と分かり,先天性フィブリノゲン異常症の第一例となった.
1963年Ménachéは免疫学的には何ら正常フィブリノゲンと変わりはないにもかかわらず,トロンビンによる凝固が全く起こらない先天性フィブリノゲン異常症を報告した2).翌1964年にBeckは,新しいフィブリノゲン異常症を発見し,先天性ヘモグロビン異常症と同様に発見された都市の名を付けることを提唱した3).以来現在までに世界で約50例の症例が発見されており,従来量的な異常と考えられていた低フィブリノゲン症の一部には,質的な異常を示すフィブリノゲン異常症も含まれていると考えられるようになった.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.