カラーグラフ
解説
新谷 和夫
1
1関東逓信病院血液学検査科
pp.934
発行日 1978年9月15日
Published Date 1978/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914857
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前白血病状態1)の診断はたいへん困難であるが,再生不良性貧血,真性多血症,骨髄線維症,血小板血症,後天性特発性鉄芽球性貧血,発作性夜間血色素尿症などと考えられていたものが,経過とともに急性白血病の病像を呈したという例と,前述のような明らかな疾患を推定はできないが,何か血液疾患ではないかと疑っているうちに白血化してきた例がある.
平福ら2)によれば,"いわゆる前白血病期とは,白血病の臨床的確認に先行する,白血病性とは断定できない血液異常を示す時期と理解される"と定義きれている.これからも明らかなように,振り返って検討すればかなりの確実性をもって白血病と推定できる場合があるのは事実だが,逆に経過中にprospectiveに診断するにはたいへん困難がある.今回カラーグラフに採用したこのは最初の自験例3)で,平福らの日本血液学会宿題講演でも第2例として扱われているものであるが,標本を通覧するたびに診断の困難さを痛感しているものである.
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