カラーグラフ
解説
赤木 正志
1
1八尾市立病院皮膚科
pp.470
発行日 1978年5月15日
Published Date 1978/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914739
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白癬はミズムシ,タムシ,インキンタムシ,シラクモなど多くの俗称を持っているが,このような表現には民族のいかんにかかわらず人間の哀歓を取り混ぜた感情が込められている.英語の一般名はtineaであるがring-worm (輪・虫)という別名があり,足のミズムシはathlete's foot(運動家の足)と言われる.頑癬(図2)を意味するjockey itch (騎手のカイカイ)もサドルの当たる陰股部の白癬の特徴を言い得て妙である.韓国語では무〓(ム・ジョム.虫・斑)と言われるが,どこの国でもきらいなものは虫のようである.いずれにしてもこれらの俗称には白癬の特徴をよく表現しているものが多い.
図1は中心性治癒を特徴とする体部白癬である.通常乳幼児の白癬はまれであるが,このような患児の周辺には母親のような成人の白癬が存在するものである.図2は頑癬である.一見湿疹様を呈するが症例によっては中心性治癒がいっそう明確なものもあり,また潮紅を伴わない落屑型のものもある.掌蹠に見られる汗疱状白癬の膿疱水疱や爪の白癬では,またそれぞれ異なった臨床像を呈するものである.
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