カラーグラフ
解説
赤木 正志
1
1八尾市立病院皮膚科
pp.1414
発行日 1977年11月15日
Published Date 1977/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914576
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クリプトコックス症本症のほとんどは髄膜炎の形をとるが,肺や皮膚にも原発性あるいは続発性に病巣を作ることがもる.多くの場合検査材料の直接墨汁染色によって莢膜を証明できるので診断は直ちに確定する.しかし時には診断の困難な場合もあり,技術上多少の問題が生じてくる.
Cryptococcus neoformansの保存株は帯褐白色,粘稠な集落であるが(図2),分離後間もない集落では褐色調はなく,粘稠ではないし,検鏡しても莢膜は不明瞭であるので同定に迷うことがある.菌糸非形成,ブドウ糖非発酵,尿素分解性(図2)などを詰めていくと同定は困難ではないが,このような分離菌から速やかに明瞭な莢膜を証明したいときには分離菌の食塩水浮遊液をなるべく大量にマウスの腹腔に接種すればよい.1〜2日後腹水の墨汁染色(図3)をすれば,髄液沈渣に見られるような鮮やかな莢膜が証明されるので,説得力のある同定ができる.
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