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研究
脳波"平均関電極誘導法"の研究(Ⅰ)—モデル実験による理論的検討
A Study of Common Average Reference Derivations in Electroencephalogram (First reports): Theoretical evaluation from model-experiment.
阪本 實男
1
Jitsuo SAKAMOTO
1
1大阪府立成人病センター脳神経科脳波室
1Dept. of Neurology, The Center for Adult Diseascs, Osaka
pp.80-84
発行日 1978年1月15日
Published Date 1978/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914644
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はじめに
一般に,脳の電位変動の状態を的確に把握するには,単極誘導法で記録した脳波が基準となる.ここで基準となる電極は,脳の電位に対して0または0に近い場所を選択することが重要である.現実にはこのような部位を選び出すことが極めて困難であるので,通常は脳から比較的離れた諸点を利用している.しかし,これらの部位は近接する脳からかなりの量の電気活動の波及を受けて,電位変動を起こしている.またGoldman1)やOffner2)が,Wilsonの心電図単極誘導法から手掛かりを得て,脳波単極誘導法の一種として平均関電極誘導法を開発した.そして,Cooperら3)が理論的に検討して今日に至っている.本法は,頭皮上の電極のそれぞれに高抵抗をつないで一点に連結し,これを基準電極とする誘導法である.その抵抗の値は,Goldmanが1.5MΩ,Offnerは0.5〜2MΩの間で適当な選択を報告したが,一般に1.5MΩがよく使用されている.また,Cooperらは入力回路が過度の不平衡を起こさない範囲で各電極接触抵抗値の不ぞろいを補う程度の抵抗値を,電極接触抵抗値と電極数の積から算出し,前二者よりも低値である.この低い抵抗値の選択と脳波計の入力抵抗を無限大とした考えから,その抵抗値の違いによる基準電極の電位の差が小さいとして無視している.
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