第5回樫田賞受賞論文・1【新連載】
MalloryのPTAH染色法における酸化剤の検討—殊に過ヨウ素酸を用いた場合の染色効果について
杉山 繁雄
1
1京都大学病院中央検査部
pp.493-496
発行日 1977年5月15日
Published Date 1977/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914352
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序論
PTAH (リンタングステン酸ヘマトキシリン)染色法は1901年Malloryにより発表されて以来,中枢神経系においてグリア線維と神経線維ないし結合織などを染め分ける方法として賞用されている.最近ではグリア線維染色のみならず,線維素,筋原線維(殊に横紋)などの証明にも広く用いられている.PTAH染色法は染色結果がやや不安定であり,かなり難度の高い染色法の一つである.染色結果が必ずしも常に安定しない原因として,組織の固定条件,PTAH染色液の成熟度ないし染色性,酸化剤の使用条件などが大きく影響していると考えられる.そこでPTAH染色の染色性を左右するこれらの要因のうち,著者は殊に酸化剤の効果を重要視し,その使用条件につき種々の検討を行った.PTAH染色過程において一般に酸化剤として過マンガン酸カリウム液が用いられているが,この過マンガン酸カリウム溶液の濃度及び浸漬時間を種々組み合わせ,最も適切な過マンガン酸カリウム溶液の使用条件を詳細に検討した.同時に酸化剤として過マンガン酸カリウムの代わりに過ヨウ素酸を用い,その濃度,浸漬時間など使用条件につき詳細な検討を加えるとともに,過マンガン酸カリウムを使用した場合の染色結果との比較検討をしてみた.
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