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PET (Positron Emission Tomography)は陽電子を放出する特殊なアイソトープ(RI)を種々の化合物にラベルして,これを患者に投与した後PET装置でその分布を断層像として表示する技術である.これはポジトロンCTとも呼ばれる.PETで使われるRIは15O,13N,11C,13Fなどであり,その物理半減期はそれぞれ2,10,20,110分と短く,検査による放射線被曝はあまり問題にならない.放射薬剤として投与される物質としての量も,トレーサ量であるから無視できる.例えばレセプター測定に使われる放射薬剤としての標識リガンドは,数μg程度のものである.精神疾患を対象としたものとしては,脳内局所の血流やエネルギー代謝の測定が行われてきたが,最近では神経情報伝達に直接かかわる伝達物質やそのレセプターの測定も始められている.このうち精神疾患との関連で特に重要なものとして,精神分裂病におけるドーパミン,不安神経症とてんかんにおけるベンゾディアゼピン(BDZ),アルツハイマー病でのアセチルコリンの各レセプターなどが考えられる.ここでは著者らが行ってきた11C-Ro15—1788による中枢性BDZレセプターイメージと11C-Nメチルスピペロン(NMSP)による脳内ドーパミンD2レセプターイメージを示す.図1は健常男性において経時的に撮ったOMライン上46mmでの脳PET像であり,図2は同一例での4つのスライスレベルにおけるPET像である.図3,4はアルツハイマー病でのそれぞれのBDZレセプターイメージで,図4はより重症例を示す(CDR 3).図5は11C-Ro15-1788静注後これが脳内に分布した時点で非放射性のRo15-1788を大量に静注することにより脳内放射能が急激に減衰することからレセプター結合の特異性を示したものである.図6は11C-NMSPによる健常男子の脳内ドーパミンD、レセプターイメージであるが,Ro15ー1788によるものと比べてその分布の差が明瞭である.
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