今月の主題 病原体抗原の免疫学的検査法
技術解説
腸管感染症起因菌の免疫学的推定法
三宅 真実
1
,
余 明順
2
,
本田 武司
1
Masami MIYAKE
1
,
Myonsun YOH
2
,
Takeshi HONDA
1
1大阪大学微生物病研究所細菌血清学部門
2大阪大学微生物病研究所菌株保存施設
pp.737-744
発行日 1988年7月15日
Published Date 1988/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913685
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細菌性腸管感染症においては,患者材料から迅速かつ正確に起因菌を同定し,患者の診断,治療,および感染源の究明とともに,その後の二次的な感染の発生防止に的確な情報を確保することが必要となる.しかし,一般に糞便などから培養細菌検査によってこれらの情報を得るには,早くて48時間かかるのが現状である.近年の,簡易同定キット,自動細菌検査機器の開発により,この時間の短縮が試みられているが,同時に,免疫学的手法を用いての,特異的微量抗原検出による起因菌の推定も,臨床検査への応用が始まっている.糞便など患者材料からの感染起因菌に特異的な抗原(毒素,菌体抗原など)の免疫学的直接検出法は,腸管感染症においても,診断や菌同定の簡易化,迅速化に大きな可能性を秘めた手法として注目すべきだと考えられる.
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