わだい
最適測定法への方法論
関 知次郎
1
1名古屋市立大学医学部附属病院中央臨床検査部
pp.1286
発行日 1988年10月30日
Published Date 1988/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913793
- 有料閲覧
- 文献概要
酵素活性の最適測定法を見いだすことは,標準化のためにも大事なことである.すでにいくつかの組織がそれを試みているが,最近CKにおいて,最適法を組み立てる方法論が不十分であることの指摘がなされた1).これは化学工学などでよく使われている要因分析,最適計画の手法を利用するもので,複数の基質や緩衝液間に相互作用があるとき,単一因子のみを動かして順次最適化していく従来のやりかたのもつ欠点を浮き彫りにした鋭い批判となった.この方法の優れている点を明確にする論文が,尿中のアラニンアミノペプチダーゼ(EC3.4.11.2)(U-AAP)についても最近報告されたので,この酵素を例にとって,Simplex,Response SurfaceまたはCooptimizationなどと呼ばれる手法の意義を,簡単に紹介してみよう.
尿中酵素については,ヨーロッパで特に盛んに行われた2,3).いくつかの酵素で,尿中の阻害因子(正体については後述するように1986年になって初めて論文4)がある)を除くために,Sephadexによるゲル濾過または透析という前処理を必須としている.U-AAPについても,1980年に最適法の提唱がなされた5).
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.