今月の主題 周産期の臨床検査
カラーグラフ
羊水診断
林 研
1
Ken HAYASHI
1
1京都大学医学部婦人科学産科学教室
pp.1058
発行日 1988年10月15日
Published Date 1988/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913748
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羊水は子宮腔内で胎児を直接とり囲むように存在し,胎盤が完成する妊娠12週以降は羊膜から分泌した母体の血漿成分のほか,胎児の皮膚,腎,消化管,肺などの分泌物や細胞成分を含む.羊水中に存在するこれらの物質を分析し胎児の状態を把握する方法が羊水診断である.そのひとつに羊水細胞の染色体分析があるが,超音波装置の発達普及による安全な羊水穿刺法と細胞遺伝学の進歩による比較的容易で正確な診断法の確立により,胎児の先天異常疾患の一診断法として世界的に広く臨床に用いられている.しかし,羊水穿刺の時期的制約のため,妊娠5カ月以前には診断困難であったが,最近,妊娠初期(妊娠7〜11週)の絨毛採取法(CVS)および絨毛組織を用いた胎児診断法が開発され早期診断が可能となった.胎児への安全性が確認されれば将来羊水検査法にとってかわろうとしている.
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