わだい
急性白血病のFAB分類
厨 信一郎
1
1日本医科大学・第三内科
pp.1324-1325
発行日 1987年10月30日
Published Date 1987/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913484
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1976年,仏・米・英の血液専門家グループ(French-American-British Co-operative Group)によって急性白血病(AL)の新しい分類法が提唱され1),そのグループ名に基づき「FAB分類」と呼ばれている.最近この分類法が臨床血液学分野で日常的に用いられるようになった.本分類は,それまで血液専門家間で多少のずれのあったALの病型診断基準を統一し,国際的に共通したALの研究基盤を確立するために提唱されたもので,病型診断に際しては主として末梢血および骨髄塗抹普通染色,および一般的に行われている数種類の細胞化学が用いられる.したがって,一部の病型を除いてはどこの施設でも客観的かつ容易にALの病型を決定しうる利点がある.FABグループは1982年には骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome;MDS)についても分類法を提唱している2).本稿では紙数の都合もあり,ALのFAB分類に絞って述べるが,MDSはALにきわめて近い疾患群であり,MDSからALへ移行する症例もしばしば見られるのでMDSのFAB分類についても併せて文献を読むことをお勧めする.
FAB分類においてもALをリンパ性(ALL)と非リンパ性(ANLL)とに大別することは従来の分類と変わりがない.FAB分類では,ALLはL1〜L3の3型に,ANLLは,1976年の初発論文1)ではM1〜M6の7型(M5はa,b2型)に分類されていたが,1985年にM7が追加され3)現在は8型に分類されている.以下,各病型を概説する.
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