特集 生検の進歩
I 臓器別生検
i 組織診
17 術中迅速診断
田代 征夫
1
,
入 久巳
1
,
山崎 晴久
1
Yukio TASHIRO
1
,
Hisami IRI
1
,
Haruhisa YAMAZAKI
1
1慶応義塾大学医学部中央臨床検査部
pp.1273-1278
発行日 1987年10月30日
Published Date 1987/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913471
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
医学の進歩,特にME工学の進歩は,驚くべき正確さで微小癌の術前画像診断を可能にした.種々のME機器の組み合わせによって微小病巣の発見が容易になってくるとともに,術中に行われる凍結迅速切片診断(以下,迅速診断)はその重要性がますます認識され,今日,広く利用されるに至っている1〜3,14).外科的手術法が進歩・改良されるに伴って,単に病巣部を摘出するのみでなく,術中に治療方針の決定・予後を推測し,適切な判断が要求される症例が増加してきたのも,その一因である.したがって,迅速診断を通して病理側に要求されるのは,腫瘍の種類(組織型の決定ないしはその推測),悪性度,浸潤の程度(断端・剥離面への浸潤の有無など)である.その結果によって,術中に手術術式の変更,手術範囲の決定,術後の治療方針の決定がなされるわけである1〜3).その術中迅速診断の限界,正確度,適応性などに関する問題点について慶応義塾大学病院中央臨床検査部病理での経験例を中心に,検討を加えた結果を報告する.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.