今月の主題 生体色素
検査と疾患—その動きと考え方・120
Dubin-Johnson症候群とその周辺
小沢 厚
1
,
吉田 和朗
1
,
高畑 賢司
1
,
米倉 甫明
1
,
浪久 利彦
2
Atsushi OZAWA
1
,
Kazuro YOSHIDA
1
,
Kenji TAKAHATA
1
,
Toshiaki YONEKURA
1
,
Toshihiko NAMIHISA
2
1順天堂大学医学部内科学教室(消化器)
2順天堂大学医学部内科学教室
pp.295-301
発行日 1987年3月15日
Published Date 1987/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913275
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はじめに
黄疸とは,血清ビリルビンの増量によって皮膚や眼球結膜などの組織が黄色に染色された状態であるが,黄疸の程度は一般的に原疾患の重症度と相関すると言われている.しかし,黄疸がみられても自覚症状は比較的軽いかほとんどなく,検査を行っても肝細胞障害,胆管閉塞,溶血などの所見が認められず,しかも予後の良好な一群の人たちがいる.この黄疸は先天性あるいは家族性に高ビリルビン血症を示す特異な黄疸で,一括して体質性黄疸と呼ばれている.
体質性黄疸には,直接型ビリルビンが主として増量するDubin-Johnson症候群(DJS)やRotor症候群(RS)と,間接型ビリルビンが主として増量するGilbert症候群(GS)やCrigler-Najjar症候群(CNS)とがある.ここではDJSの症例を示し,具体的に他の症候群とどのように鑑別するか,また検査データをどう読むか,またそれと病態とのかかわりはどうかについてもふれながら解説する.
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