今月の主題 免疫不全
技術解説
インターリュウキンの検査
向田 直史
1
,
笠原 忠
2
Naofumi MUKAIDA
1
,
Tadashi KASAHARA
2
1自治医科大学臨床病理学教室
2自治医科大学医動物学教室
pp.109-117
発行日 1986年2月15日
Published Date 1986/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912874
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リンパ球やマクロファージは抗原やマイトーゲンなどの刺激を受けると,種々の可溶性因子を放出する.これらの因子の多くはペプタイドであり,組織適合抗原の拘束を受けずにごく微量の濃度(10−10〜10−15mol/l)で,種々の免疫反応や炎症反応における細胞相互間の伝達物質として働くことが知られている.リンパ球やマクロファージから放出される因子を,それぞれリンフォカインやモノカインと呼び,それらを総称してサイトカインと呼んでいる.
1979年これらのサイトカインのうち,物理化学的に性状の明かになりつつあったものをインターリュウキン(interleukin;IL)と呼ぶことが提唱された1).このときILとしては,生物学的活性と物理化学的性状の違いより,IL1,IL2,IL3の三種類の存在が提唱された.しかしこれらの因子は,細胞培養液中に微量の濃度で存在しているうえに,他のリンフォカインと混在していることが多いため,従来の方法では精製が困難であった.このため構造が不明であるのみならず,その生物活性がそのもの自身によるものか,それとも混在している物質によるものかについては,明らかにすることが困難であった.
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